波乗りでん助

~ サーフィン総合研究所 ~

チャンピオンへ壁を越えた。高梨直人が嬉しい初優勝。庵原美穂はガッツで2連勝。2011JPSAオールジャパンプロ新島

11月 2nd, 2011 · No Comments

高梨直人がファイナルを終えて凱旋。プロ初優勝。しかも堂々の真っ向勝負でヒデヨシに勝った。
高梨のファイナルヒートは自分のサーフィンを出し切ったクールな快進撃だった。サーフィンの出来は絶好調。これまで勝ち上がってきたヒートと同様にイメージ通りに攻め切るだけだった。もっとも大切な波のセレクトも失敗はなかった。それにファイナルヒートは運も味方した。スタートの1本目で仕掛けたリップアクションに失敗してボードを回しきれずにレイバックで背中が波に落下。足が抜けてしまいワイプアウト寸前のところで奇跡が起こった。そのまま水中かと思った高梨がボードを背中にしてバネ仕掛けのようにスタンドアップ。スープの中からファイティングポーズで生還し何事もなかったかのようにプルアウト。ジャッジポイントは低かったが、スタートで最初の波だったからメイクしたかしないかは大違い。ここでラッキーを拾った高梨は気分よくヒートに集中してライドを重ね、いい波をつかめずに苦しむヒデヨシとのリードは着々と広がるばかり。そして残り5分、8ポイントを叩きだし優勝を決めたレフトも運が味方したかのようなグッドブレイク。優先権を持つヒデヨシが沖でスルーした何でもなさそうな波が、インサイドで高梨がテイクオフしたとたんにギュルギュル巻き上がって8ポイントを稼ぎだすロングライド。ファイナルが終わってみれば、何から何まで高梨に勝利の風が吹いていた。

8年振りにやっと巡ってきたチャンスをがっちりとつかんだ高梨。これで名実共にチャンピオンの仲間入りだ。『肩の荷が下りた』。カメラマンのリクエストに喜びいっぱいのアクションと笑顔で応えた後、一息ついた高梨がつぶやいた。勝てるはずなのに、ずっと自分以外の出来事だった優勝。それが、とうとう自分に転がり込んできた。どんなに長い時間だったか。何度もファイナルは経験してきたが、勝利の女神は一度も微笑んではくれなかった。プロコンペティターとなったからには優勝してこそ一人前。記念すべき初優勝がオールジャパンプロ。ヒストリーに名前が刻まれる瞬間がやってきた。

新人の台頭で現在大注目のガールズは前戦の鉾田に続いて庵原美穂の2連勝となった。庵原の持ち味は男勝りのハードアクション。トップで鋭角に抉りこんでくるリッピングとドライブの効いたディープターンで勝ち上がっていく。しかし好事魔多し。ファイナル進出を決めたセミファイナル終了直後にアクシデントが起こった。ヒートを終えて海から上がる際に、右足太腿の外側をショアブレイクの砂に隠れていた岩に強打してノックダウン。庵原は激痛で歩けなくなりライフガードの担架に担がれて本部テントに運ばれてきた。すぐさま治療は受けたが、庵原は椅子に座ったまま足を動かすことも出来ずにじっと痛みに耐えている。とてもサーフィンできる状態じゃない。見た目からして試合続行は難しそうだった。しかしメンズのセミファイナルを挟んで1時間後。庵原は女子ファイナルヒートにゼッケンを付けて登場。何事もなかったかのようにパドルアウトし、それまでの勝ちパターンと同じく、バックサイドをきっちり2本決めて2連勝をもぎとった。アクシデントに見舞われたときは砂浜でぴくりとも動けなかったのに。庵原は勝負に対する執念もまさに男勝り。続くJPSAバリ戦でも優勝し3連勝で初のグランドチャンプを決めたいと熱い気持ちにも火がついた。地元鴨川でプロになって4年の庵原。このままいけば、もうすぐ夢が現実となりそうだ。

コンテスト期間中の新島は天気も良くて暖かく波があるからまるでハワイ。海は独特の水色で透明できれいだし感じる肌触りも冷たくなくて、波はオーバヘッドのパワフルウェイブだし、気持ちよくアイランドサーフィン出来たんで最高でした。

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